はるか昔から私たちを優しく見守る「大山阿夫利神社」で望む絶景

大山阿夫利神社は2200年以上前、崇神天皇の頃に創建されたと伝えられている神社です。
この神社は本社と下社に分かれており、下社から本社までは徒歩で約90〜120分ほどかかります。時間がかかる分、その景色は絶景の一言に尽きますよ。

大山阿夫利神社ではさまざまな年間行事が開催されています。
5月の中旬から下旬に行う「酒祭」では、伝統的な酒造文化に触れてもらうために、利酒会や全国各地の日本酒の試飲会も実施。
10月上旬には、市の重要指定文化財に指定されている「火祭薪能」が行われます。これは300年ほど前の元禄時代に誕生した「大山能」が始まりとされ、観世流宗家一門、大蔵流狂言山本家一門による演能が楽しめますよ。また、地元の大山狂言座や進謡会による狂言や仕舞なども披露されます。

神社に参拝したらチェックしたいのが御朱印。阿夫利神社下社、山頂本社、山麓社務局でいただけます。四季折々の大山の自然を表した季節の御朱印がもらえるかもしれません。ちなみに、ここでは二重社、浅間社、追分社、勝海舟神社の御朱印もいただけけますよ。

御朱印のほかにも、お守りもかかせません。身近なお守りとして人気の「肌守」だけではなく、大山の風習納太刀を模した「納太刀守」、大山に住まうとされる大天狗のお守やフクロウが可愛らしい「福籠守」なども人気です。

大山阿夫利神社は山岳信仰としての歴史も長く、祭祀に使われたとされる縄文土器も山頂から発掘されています。古来では別名「あめふり山」とも呼ばれ、雨乞いや五穀豊穣の祈願の対象だったそう。

また、源頼朝公は平家打倒のために挙兵する際、当社に自らの太刀を納めたと伝えられています。源頼朝公が当社に刀を納めたことから生まれた「納太刀」という風習は、その後の時代にも伝わる伝統になりました。ちなみに、当時は源氏だけでなく足利氏・北条氏・徳川氏など、代々の将軍は大山阿夫利神社を信仰したと伝えられています。

江戸時代前後になると、阿夫利神社は庶民からも大人気に。
人々は「講」という組織を作り大山に参拝し、行楽を兼ねた旅を楽しむようになります。これは「大山詣り」とも呼ばれ、年間で数十万が訪れたと記録されています。この様子は古典落語の中でも語られ、著名な浮世絵師によって多くの浮世絵も残されました。
こうした歴史的魅力から「大山詣り」は、2016年に文化庁が認定する日本遺産に認定されています。

大山ケーブルバス停からケーブルカー乗り場までの参道には、土産店や食事処、大山こまの工房などが軒を連ねています。
まず、下社まではケーブルカーで行くのがおすすめです。標高差約300mを約6分で登るので、窓からは相模湾や街並みを見下ろせますよ。

大山ケーブル駅から上の道は登山道となっているため、登山前に下社で安全祈願して行きましょう。拝殿の左側には大山に登山をするために身を清める入山祓所があり、その奥の登拝門から登山開始です。
長い階段を乗り越え、樹林帯を進むと「夫婦杉」に到着。球体の「ぼたん岩」や穴のあいた「天狗の鼻突き岩」を眺めながら登ると、中間地点の十六丁目(本坂追分)に到着。ここで一休みするのがおすすめです。そこから約30分登ると、大山詣りが流行した江戸時代からの人気スポット「富士見台」に到着。ここまで来たら、あと少しです。
二十五丁目を過ぎ、木道やグレーチング階段を進むと鳥居が見えてきます。鳥居をくぐり進んで行くと、山頂に到着です。
下山時は、見晴台や二重滝などのスポットを巡ることをおすすめします。

はるか昔の時代から私たちを見守ってきた自然を、全身で感じるにはうってつけの場所です。安全第一でこまめな休憩をとりつつ、のんびりと登山をしてみてはいかがでしょうか。