大イチョウがお出迎え！神奈川県の指定重要文化財を拝める「勝福寺」

「飯泉山勝福寺」は小田原駅からバスで15分ほどのところにある真言宗のお寺で、十一面観音が本尊です。寺伝によると弓削道鏡が東に下った際、小田原に創建した千葉山弓削寺の東院堂とも言われています。現在の飯泉に移された後は小田原城の鬼門鎮守の道場として崇められ、「飯泉観音」と呼ばれて坂東三十三観音の第五番礼所となっています。
坂東三十三観音とは東京都・神奈川県・埼玉県・栃木県・群馬県・茨城県・千葉県にまたがる33ヶ所の観音霊場のことです。源頼朝によって発願され、源実朝が西国の霊場に習って礼所を制定したと伝えられています。西国三十三所と秩父三十四箇所と併せて日本百観音とも呼ばれています。
「勝福寺」の中でも、十一面観音立像と本堂は神奈川県の指定文化財として登録されています。

「勝福寺」を訪れると、樹齢700年を越える大イチョウが出迎えます。
こちらは神奈川県の天然記念物に指定されており、樹高30m、幹囲7.5mと県内最大級でその姿は圧巻です。主幹は風によって数回折れていますが、地上7～8mの所から5本の枝に分かれて次々に再生。それぞれ100年以上経過していると思われ、現在の立派な姿を構成しています。この再生枝はいずれも旺盛なので、黄色く色づく時期は少し遅くなる傾向にあります。

また、この大イチョウは、イチョウ特有の特徴の一つでもある乳柱と呼ばれるものが随所から出ているのも特徴です。乳柱とは枝や幹から垂れ下がる円錐状のもの。その仕組みは解明されていませんが、老木にできやすいと言われています。勝福寺の大イチョウはかつて乳イチョウとも呼ばれ、乳が出ない婦人が願掛けをしたという記述も残っています。

また、毎年12月17日と18日には「飯泉観音だるま市」が開催されます。これは関東で最も早く開催されるだるま市で、2023年には約25軒のだるま店が出店し、熊手など縁起物を扱うお店や飲食店の屋台も軒を連ねました。例年、境内は商売繁盛や家内安全を願う家族連れで賑わい、「かながわのまつり50選」にも選ばれています。
その歴史は古く、400年以上前の江戸時代から続きます。当時、勝福寺周辺は生活用品を扱う商店が集まる門前町だったそう。お正月の準備の時期になるとだるま店が並ぶようになったのが「飯泉観音だるま市」の始まりと言われています。

その他にも小田原市指定文化財の仁王門や銅鐘、青銅水鉢を見ることができ、見どころ満載の「勝福寺」。ぜひこの春のお出かけで訪れてみてはいかがでしょうか。