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月2回だけ見学できる、江戸時代に建てられた「平尾の古民家」

月2回だけ見学できる、江戸時代に建てられた「平尾の古民家」
東京都稲城市にある江戸時代後期に建築された古民家と土蔵

小田急線の新百合ヶ丘駅から徒歩20分(バス5分+徒歩5分)の場所にある、江戸時代に建てられた立派な古民家をご紹介します。
その古民家は、東京都稲城市平尾にある約180年前に建てられた旧石井邸「平尾の古民家」。月に2回一般公開されており、建物の中まで無料で見学することができます。公開日には市の文化財担当スタッフさんが常駐しているので、古民家について詳しく教えてもらうこともできます。

玄関がふたつ!幕府の役人を迎える特殊な造り

玄関がふたつある珍しい造りの古民家
玄関がふたつある珍しい造りの古民家
「平尾の古民家」は調査により江戸時代後期の天保14年(1843年)10月に建築されたとの記録が建物に残されており、これまで移築や改築をすることなく当時の姿を残しています。
こちらは農家でしたが名主(なぬし)と呼ばれる地域の代表者の家だったため、幕府の役人などを迎えるための接客用玄関が付いた珍しい造りになっています。

幕府の役人などを迎えるための立派な接客用玄関
幕府の役人などを迎えるための立派な接客用玄関
建物の正面から見て左側にある接客用の玄関は農家の場合、名主だけに許された式台(玄関の上り口に設置された板敷)、舞良子(まいらこ)という戸板が付いた造り。幕府の役人が入っていく場面が想像できる立派な玄関です。接客用の玄関の他に普段使うための一般的な玄関もあり、玄関が2つある建物になっています。

接客用ではない玄関を入ると広い土間があります。土間は台所として使っただけでなく、農業の作業部屋にもなっていて、現在は昔の道具が展示されています。

台所や農業の作業スペースとして使われた土間
台所や農業の作業スペースとして使われた土間
養蚕もしていたそうで、以前は土間に蚕を飼育する上の階への階段があったそうです。屋根の上には養蚕用の排気棟があり、外から見ることができます。

手前の床には囲炉裏、奥の床には養蚕用の火を焚く穴が残っている
手前の床には囲炉裏、奥の床には養蚕用の火を焚く穴が残っている
土間の端には2本の大黒柱があり、大黒柱の向こうには二つのスペースが広がっています。写真手前には囲炉裏、奥の床には養蚕用の火を焚く穴が残っています。
現代的な照明が付いている部屋があるのですが、実はこちらの建物には約15年前まで持ち主の方が暮らしていたそうで、その名残の照明です。

建物の周りにも昔の生活や工夫が

古民家の裏にある穀物の保管に使われた「イモ穴」
古民家の裏にある穀物の保管に使われた「イモ穴」
「平尾の古民家」の魅力のひとつは、移築されず建った場所に残っていること。建物の周りにも歴史を感じる場所があります。
建物の裏には、関東ローム層を利用した、穀物の保管に適した温度や湿度を保つ「イモ穴」と呼ばれる貯蔵穴があります。江戸時代に使われ、明治時代には敷地内に土蔵が建ち、貯蔵の場所は土蔵に移ったとのこと。土蔵は今も残されていて見学できます。
また、建物の周りには竹林や柿の木、イチョウがあり、春はタケノコ、秋は柿や銀杏を食べていたそうです。

敷地の外は新しい住宅街が広がっていますが、かつては古民家の前に牛舎と田畑があったそうです。古民家を見学しながら、昔の暮らしや景色を想像して楽しんでみてはいかがでしょうか。

「平尾の古民家」の公開日は稲城市のホームページに掲載されています。また、夏休み中は歴史を伝える子ども向け紙芝居の読み聞かせイベントが行われる日があります。ぜひ足を運んでみてください。

ベリーさん(66)の記事

平尾の古民家

https://www.city.inagi.tokyo.jp/event/bunka/1003804.html

稲城市平尾2-45-19 ※公開日は稲城市のホームページに掲載されます。

電話番号:稲城市郷土資料室 (複合施設ふれんど平尾内)
042-331-0660(電話受付時間:火~金9:00-17:00)

アクセス情報:「新百合ヶ丘駅」より徒歩約20分、またはバス5分(バス停「平尾」)+徒歩5分

資料提供:稲城市教育委員会

この記事は読者リポーターの投稿によるもののため、情報の正確性は保証されません。ご確認のうえご利用お願い致します。

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