「武相荘」で暮らした白洲夫妻とは(後編)-連載3
前回までの連載では、日本の原風景が残る「武相荘」と、そこに暮らしていた白洲夫妻の暮らしについてお伝えしました。今回も館長であり夫妻の娘婿である牧山圭男さんからお聞きした白洲夫妻の姿についてお届けします。
次郎氏の「プリンシプル」

ーー牧山さんはどのような場面で次郎氏の「プリンシプル」を感じていましたか。
身なりに気を付けていたのが印象的です。かっこつけていたのではなくて、「自己表現」のツールとして大切にしていたし、私自身もそうしています。やはり第一印象の持つ役割は大きいので、TPO(時間、場所、場面)にS(ライフスタイル)を加えた「TPOS」を意識しています。
よく覚えているのは、昔、私がこの「武相荘」から勤務先の百貨店に行くときにツイードのジャケットを着ていた日のこと。私はジャケットを着ているから良いと思っていたのですが、次郎からは「これから猛獣狩りにでも行くのか」と聞かれました。百貨店で勤務するにはふさわしくないということです。
もしかしたら次郎が「時代遅れ」という見方もあるかもしれませんが、私が責任ある立場で仕事をしようとしたときに、次郎のように思う方から見たら「変な恰好をしているな」と思われることもあるでしょう。ネクタイまできっちりとしたTPOSに合う服装をすることで、仕事をするうえでも有利になるならば、それは大切なことです。
次郎の存在にある意味緊張感を覚えることもありましたが、「プリンシプル」は自分を高めるきっかけになりましたね。

ーー来場者にメッセージをお願いします。
ここは白洲夫妻が「自分たちが楽しく暮らせるように」と長い時間をかけて生活空間を作ってきたところ。その空気を一緒に吸って、楽しんでいただけたらそれが一番ありがたいです。
戦後の日本の復興に貢献した二人が暮らしていながらも、ここには豪華なシャンデリアがあるわけではありません。色々なものを展示していますが、「美術館」ではなく生活を感じられる「ミュージアム・記念館」としての姿を大切にしています。今では貴重なこの自然をじっくりと感じてもらえたらうれしいです。
ーー牧山圭男さん、ありがとうございました。
◆白洲次郎氏について
https://buaiso.com/about_buaiso/jiro.html
◆白洲正子氏について
https://buaiso.com/about_buaiso/masako.html
旧白洲邸 武相荘
町田市能ヶ谷7丁目3番2号 042-735-5732 ■ 駅から徒歩・小田急小田原線 鶴川駅 北口下車、徒歩15分
■ バス 鶴川駅より(小田急バスまたは神奈川中央交通)
・5番のりば26系統バスにて
「平和台入口(旧白洲邸 武相荘)」下車、徒歩5分
・3番のりば13系統バスにて
「平和台入口(旧白洲邸 武相荘)」下車、徒歩5分
・3番のりば11系統バスにて
「鶴川一丁目」下車、徒歩5分
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