心をゆるめる音を届けて。地域に広がるタングドラムの輪
小田急沿線の素敵なくらしをしている人々にスポットをあてて、仕事のこと、地域との関わり、そしてその人らしい生き方をお届けする「小田急沿線のくらし」。
今回ご紹介するのは、打楽器・タングドラム奏者/講師として活動する、かつみ あいさんです。
川崎市多摩区や小田急沿線を中心に、演奏やレッスン、ワークショップを通じて、音楽の楽しさを幅広い世代へ届けています。
やさしく響くタングドラムの音色とともに、「音に触れる時間」の大切さを伝えるその活動は、地域の中で人と人をつなぐ存在にもなっています。
出産や育児をきっかけに一度音楽から離れた時期、かつみさんが出会ったのがタングドラムでした。
「もう以前のようには続けられないかもしれない」と感じていた中で耳にしたその音は、心がほどけるような感覚をもたらしたといいます。
この楽器には、人の心をやわらげ、音楽へのハードルを下げる力がある——そう確信し、約5年前から本格的に活動をスタート。
自分が演奏できることと、人に伝えることの違いに悩みながらも、試行錯誤を重ね、今のスタイルを築いてきました。
かつみさんが大切にしているのは、「うまくやること」よりも「音を楽しむこと」。
言葉がなくても人とつながれる打楽器の魅力を信じ、一人ひとりのリズムや感覚に寄り添う時間を何よりも重視しています。
レッスンやワークショップでは、安心して音を出せる空気づくりを心がけ、「楽しい」「わかりやすい」といった声も多く寄せられています。
「楽器は無理だと思っていたけれど楽しかった」という言葉や、参加者の表情が少しずつ変わっていく瞬間が、活動を続ける大きな支えになっています。
子育てと仕事の両立、そしてまだ広く知られていない楽器の魅力をどう伝えるか——迷いや不安を感じた時期も少なくありません。
それでも「目の前の一人に丁寧に届ける」ことを意識するようになってから、少しずつ道が開けていきました。
演奏者としてだけでなく、「音楽の入り口をつくる人」としての役割に気づいたことが、大きな転機となります。
現在は、向ヶ丘遊園で「大人のタンバリン部」を立ち上げるなど、気軽に音楽を楽しめる場づくりにも力を注いでいます。
これからは活動の幅を地域外へも広げながら、年齢や経験に関係なく誰もが参加できる“居場所”のような場を増やしていきたいと語るかつみさん。
音楽を通して人が自然につながり、「少し気持ちが軽くなる時間」を届けることが目標です。「音楽は特別な人のものではなく、誰でも楽しめるもの。
やってみたいと思ったら、その一歩を大切にしてほしい」——その言葉どおり、かつみさんの活動は、日常の中にやさしい音の余白を生み出し続けています。
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