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紙芝居で届ける「大好きだよ」——地域の子どもたちに笑顔をつなぐ、紙芝居屋ゆうことぴっぴ

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紙芝居でつながる、地域の笑顔

小田急沿線の素敵なくらしをしている人々にスポットをあてて、仕事のこと、地域との関わり、そしてその人らしい生き方をお届けする「小田急沿線のくらし」。
今回ご紹介するのは、川崎市を中心に活動する「紙芝居屋ゆうことぴっぴ」のゆうこさんです。

現在は、月に一度の放課後キッズクラブや、こども食堂「キッチンたいよう」での定期公演を中心に、学童やこども文化センター、地域イベントなどで紙芝居を届けています。
活動を始めて今年で7年目。登戸駅周辺では、多摩川河川敷で開催される「おひさまフェス」にも毎年出演しています。

紙芝居と聞くと、昔ながらの「見る」ものを思い浮かべる人も多いかもしれません。
でも、ゆうこさんの紙芝居はひと味違います。

クイズを出したり、子どもたちに登場人物を手伝ってもらったり、会場から飛び出す声や反応を大切にしながら、一緒に物語をつくっていくスタイル。「子どもたちに楽しい時間を届けたい」というシンプルな思いが、地域のあちこちで笑顔を生み出しています。

コロナ禍に見つけた、親子の新しい挑戦

そんな「紙芝居屋ゆうことぴっぴ」が始まったきっかけは、意外にも新型コロナウイルスでした。コロナ禍以前、ゆうこさんは地域のママたちと、子ども連れで趣味の演奏活動をしていました。しかし、2020年春、突然すべての活動が止まります。娘のぴっぴさんが小学校に入学してわずか1か月。学校も休校となり、家族で過ごす時間だけがぽっかりと残りました。そんなとき、SNSで知ったのが「オンライン青空かみしばい」。外に出られず、人と会えない状況だからこそ、双方向で楽しめる紙芝居を通してコミュニケーションしようという活動でした。「私たちもやってみよう!」。それまで“見る側”だったゆうこさんとぴっぴさんは、紙芝居を作り、今度は“演じる側”へ。これが活動の始まりです。当初は「コロナ禍でも何か人を楽しませたい」「親子で一緒に何かをしたい」という思いが原動力でした。ところが、活動を始めても出演する場所はなかなか見つかりません。そんな中、2020年11月、ぴっぴさんが通っていた小学校の放課後キッズクラブで定期的に演じる機会を得ます。最初はボランティアでしたが、ここから地域とのつながりが少しずつ広がっていきました。

「見る」だけじゃない。子どもと一緒につくる紙芝居

活動を続ける中で、ゆうこさんが強く感じるようになったのが「紙芝居の力」です。
紙芝居には、演じる人と見る人が顔を合わせ、言葉を交わし、その場で一緒に笑えるという大きな魅力があります。だからこそ、ゆうこさんが大切にしているのは、子どもたちとの「双方向のコミュニケーション」。

クイズでは、正解が出ていても「答えたい!」と手を挙げる子の声をできるだけ聞き、思いがけないツッコミや発見も大切にします。そして、何より大切にしているのが「子どもの考えを否定しない」こと。
「それいいね!」「おもしろいね!」と、まず受け止めるのがゆうこさんのポリシーです。

紙芝居の後、使っていたペープサートを見て、子どもたちが画用紙と割り箸で自分たちでも作って遊び始めたことも。
「見て終わり」ではなく、子ども自身の体験や遊びにつながっていくことが何よりうれしいと話します。

さらに、保育園、小学校、学童、こども食堂、地域イベントなど、さまざまな場所で活動しているからこそ、子どもたちの成長を見守れることも、この活動の大きな喜び。「保育園で会っていた子と小学校で再会したり、学童を卒業した子が成長してこども食堂に来てくれたり。地域で活動しているからこそ出会える瞬間があるんです」。

支えてくれたのは、暮らしているまちだった

もちろん、ここまでの道のりは決して順風満帆ではありませんでした。
活動を始めたばかりの頃は、ほとんどがボランティア。

続けていくための資金面に悩んだこともありました。
また、紙芝居師の仲間が増えるにつれ、「素晴らしい紙芝居師がたくさんいる中で、自分が続ける意味はあるのだろうか」と迷った時期もあったそうです。

そんなとき、ゆうこさんを支えたのが「地域とのつながり」でした。大きなイベントに呼ばれることがなくても、自分の暮らす地域では必要としてもらえている。
その実感が、活動を続ける力になりました。

最初に定期公演の場を与えてくれたキッズクラブの施設長さんとの出会いも大きな転機。その方が後に地域のこども食堂「キッチンたいよう」を立ち上げると聞き、ゆうこさんもポスター作りや紙芝居で協力するようになりました。

地域の人たちと一緒に活動するうちに、いつしか「ゆうことぴっぴ」は、地域ではちょっとした“ご当地アイドル”のような存在に(笑)。

街を歩けば「ゆうことぴっぴだ!」「ゆうこちゃん!」と声をかけられることもあります。「おかえり!」「気をつけてね」と返す何気ないやり取りも、地域で暮らし、地域で活動するからこそ生まれる大切な時間です。

「大好きだよ」を届ける。その先にある世界平和

「子どもたちに、みんなのことが大好きだよって伝えたい」。

ゆうこさんが紙芝居を通して届けたいのは、物語や笑いだけではありません。
「この地域には、あなたたちを見守っている大人がいるよ」というメッセージです。

川崎で活動する中で、子どもたちを支えようとする人が地域にはたくさんいることに気づいたというゆうこさん。
これからは、経済的な理由などで「楽しい体験」が少ない子どもたちにも、気軽に楽しめる紙芝居を届けたいと考えています。
お金を払ってどこかへ出かけなくても、地域のお祭りや子どもたちの居場所で、誰もが楽しめる紙芝居ショーがあちこちで開催される未来を思い描いています。

「その場に偶然居合わせた、年齢も出身も性別も違う人たちが、同じものを見て一緒に笑う。それって、まさに平和だと思うんです」。かつて紙芝居が大きな力を持っていたように、今度はその力を平和のために使いたい。そんな思いを胸に、今日も地域の子どもたちの前に立ちます。

「人生、何があるかわからないですよ(笑)。理系大学を出て、今はママで保育士で紙芝居屋。二足のわらじどころか、手にもわらじを履いています。でも、生きがいがあって、とても楽しい。面白そうだと思ったことは、とりあえずやってみる。それが私らしい生き方なのかもしれません」。
紙芝居を通して届けられる笑顔が、今日も小田急沿線のまちに、あたたかなつながりを生み出しています。

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紙芝居屋ゆうことぴっぴ

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